History

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80周年社史『独自性の発揮』

脳科学メガネレンズの誕生

日本酒の利き酒を行う際に脳科学を採用しているという情報に、武雄社長(現会長)がピンときたのが脳科学との出会いであった。人間の主観と脳が感じていることは同じであるとは限らない。それをヒントに、脳科学の研究を担当しているNTTデータ経営研究所とコンタクトをとり、脳科学による累進レンズの評価が可能かどうかを研究し始めた。さまざまなテストを行った結果、脳波の計測結果をレンズ設計に反映することができることがわかり、極秘プロジェクトがスタートしたのだ。

特に、遠近両用(累進レンズ)は“これが最適”というものがなく、見え心地の差が大きい商品。そこで、人が感じる心地よさを脳波によって測り、感情の動きを分析することで装着時の“見え心地”を分析し、設計に反映するレンズを考案。掛けることで脳が喜ぶ、業界初の「脳科学メガネレンズ」を生み出した。

平成20年に東京ビックサイトで開催されたiOFT2008で脳科学メガネレンズ「ベルーナレゾナス」を発表した。

10年を迎えた脳科学メガネレンズ

脳科学メガネレンズは、“東海光学といえば脳科学”という代名詞ともなる業界内外での地位を確立した。ベルーナレゾナス発表後、平成21年にレゾナスR、22年にレゾナスフィット、23年にレゾナスMT、レゾナスフィットRと「脳科学メガネレンズシリーズ」を続々と発表。さらに、世界最先端の脳科学研究が行われている自然科学研究機構 生理学研究所(柿木隆介教授、乾幸二准教授)と共同で、近中累進レンズ「ベルーナレゾナスプレッソ」を発表し、学術的にも価値がある最新の脳科学として評価を得た。平成25年にはレンズを脳磁図(MEG)で評価することで両眼で見たときに最適に見える累進レンズ「ベルーナグラナス」を開発。翌年には、一人ひとりの目の個性に合わせた独自の最適補正システムを導入した「ベルーナニューログラン」を発売した。こうして、誕生から10年を経て脳科学メガネレンズシリーズは17商品にまで拡大。平成30年には、集大成となる「レゾナスX(テン)」を発表し、これまでの技術全て注ぎ込んだ“脳まで心地よい装用感”のあるレンズを実現させた。

アイケアデザイン

平成26年のiOFT2014を機に、東海光学は眼の健康を守るためのものづくりの考え方“ずっと健康であるために、光からもっと眼を守る。未来のスタンダードをつくるアイケアデザイン”というコンセプトを打ち出した。それを体現した第一弾のレンズが新商品「ルティーナ」である。ものを見るのに重要な「黄斑部」に存在する「ルテイン」に着目し、光をカットすることでルテインの消耗を抑えるレンズを開発。眼の健康という差別化と新しいコンセプトは、市場でも受け入れられ、東海光学の主力ブランドとして認知されるようになった。こうした他社では真似できない技術力と開発力をもって、業界にまだ見ぬ新たな価値を生み出す独自のものづくりが、東海光学の大きな柱となっているのである。

女子開の躍進

平成23年、女性の活躍推進が叫ばれる最中、女性目線の新しい商品開発により他社との差別化を図ろうと発足したのが女性だけの商品開発チーム「女子開」である。開発から販売まで女性だけのチームで手がけ、平成24年には初の女子開オリジナル商品「肌美人」を発表した。レンズ開発にパーソナルカラーの理論を導入し、全国で体験型のセミナーを開催。パーソバルカラーアドバイザーの資格をもつ社員が直接お客様にメガネをコーディネートするような販売支援方式をとった。これが好評を博し、平成25年には第二弾商品「男前」を発売、さらにメガネフレームの開発まで手がけた「肌美人+」を発売し、シリーズは大ヒット商品となった。その後も、女子開メンバーは躍進を続けることになる。色が人体にもたらす科学的根拠を調査するために色彩心理療法に精通する医学博士に協力を仰ぎ、臨床試験を行った。するとピンク色の波長が気持ちをリフレッシュし明るくなると回答する方が多いとの結果が出た。それを元にピンクのサングラス「美美Pink」を開発。これがNHKなど各メディアで取り上げられ、さらに内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の「Healthcare Brain チャレンジ」優秀入選アイデアに選ばれた。

女子開の活躍により、社内の各分野でも女性の積極的な活用が進んだ。現在、女子開による商品は10点にも登り、今後も活躍を期待されている。

光機能事業の新たな挑戦

平成25年に薄膜事業部から光機能事業部と名称を変更し、受託加工から提案型の開発部隊へという方向性が打ち出された。当時、映像業界に向けたLED照明の開発を手がけていたが、宏和社長を交えたミーティングの中で、照明器具よりも自社の特性を強く打ち出せる自社商品のほうが良いという意見が出された。そこで開発されたのが分光透過率計「TL-100」である。従来のものよりも簡単に測定でき、小型でシンプルな構造を実現した。

平成28年には、アメリカ・アリゾナで開催された光学薄膜の国際学会(OIC)の設計コンテストにて、東海光学の技術者が2位の成績を収める快挙を成した。光学薄膜分野の専門家や研究者、技術者との交流を深め、東海光学の技術力を牽引する存在ともなっている。さらに平成30年には光機能事業部が開発・製造した光センサー用集光器が東京大学宇宙線研究所に採用され、スペイン領カナリア諸島にある世界最大級のガンマ線天文台「チェレンコフ望遠鏡アレイ」に搭載された。国際共同プロジェクトの宇宙線研究という高い技術を求められる現場で、東海光学の技術力を頼りにされる事実は、改めて自社技術への自信と誇りにつながったのである。

平成30年11月には、真福寺事業所第二工場の建設を着工(平成31年11月竣工予定)。光機能事業部の今後の拡張も想定し、蒸着および包装ライン導入を予定している。東海光学100年に向けたコア技術の創出と新たな技術革新を目指して、新工場は新たな息吹をもたらす核となるはずである。そして、東海光学にしかできない高品質な技術を磨き、これからも世界へ発信し続けていく。